なんなんだ….この胸騒ぎは.. 手が少し冷たくなって、いつもより胸の鼓動が早い。
指をこすればうっすらと汗をかいている。心不全の症状か…いや違う。
今日、1年以上ぶりの授業だからか?
受け持つクラスは少人数で、前任校のクラスと比べれば圧倒的に少ない。
教育実習でも、前任校の初授業でもほとんど緊張したこともないのに?
なぜ?
今までと違うことを考えてみた。答えはすぐに見つかった。
それは、今日の初授業で自分の病状を伝える決心をしたこと。
私の病状、思いをクラスの子たちに伝える。そのことが今の私を緊張させていた。
自分の中ではすごくすごく大きなことだった。
話すべきなのか、話す必要すらあるのか、彼らはちゃんと聞いてくれるだろうか。。。
授業前に少し、自分が言いたいことを紙にまとめてみた。
拡張型心筋症、心臓移植、ベッドと車椅子の生活、除細動器、補助人工心臓… 退院、自宅療養、社会復帰、様々なキーワードが私の頭の中で線になっていく。すべて昨日のように鮮明に覚えている。
去年のカレンダーを見返す。
4月13日 エコー検査、心臓移植の話を受ける
4月16日 点滴は首から腕へ
4月21日 栄養指導
5月20日 除細動器埋め込み手術
6月18日 再入院…..
去年の自分と今の自分。
変わったのは体だけじゃないはず。失ったものだけじゃないはず。
意を決して立ち上がり、教室へ向かう。
初めて入る教室と新鮮なクラスの雰囲気。
教卓の上にある出席簿。ああ、ここに帰ってきたんだ。
授業が始まるやいなや、「いつまでカバンぶら下げとん?なんでカバンいつも持ってるん?」とお決まりの質問を受ける。
「まぁまぁ」となだめる。
アイスブレークとして他己紹介を実践。クラスの仲間、担任の先生の紹介をそれぞれしてもらう。
生徒たちの笑顔、恥ずかしい顔、困った顔、久しぶり。
盛り上がった他己紹介を終えて、時計を見ると残り15分。ちょうどいい。
さぁ始めるか。レスリングの話、カナダの話、前任校の話。
そして、口からでは誰にも話したことのない去年の4月からの話。
自分自身、不思議なほど妙に落ち着いていた。
もっと感情的になるかと思っていたけど、ある意味、冷静に、淡々と話していた。教員としての性なのが、ここまで自分が整理できてきたのか。
他己紹介で盛り上がっていた教室はシーンと静まり返り、私の声だけが響いていた。
生徒たちの顔を恐る恐る見ると、みんな顔を上げて、まっすぐに私の目を見てくれていた。最初から最後まで私の声に耳を傾けてくれた。時よりうなずいてくれた。私の言葉以上に彼らは多くを感じとってくれていた。
病気になって、障害者になって、なんとも申し訳ない気持ちになって、社会のお荷物になったと自己嫌悪してた去年の自分。もう教壇に立つ事はおろか、社会復帰すら諦めていた。だけど、そんな私の話を彼らは一生懸命に聞いてくれた。難病と闘う私たちだからできることって実はいっぱいあるのかもしれない。
変わったのは体だけじゃないはず。失ったものだけじゃないはず。
そう、この辛い経験で心も変わった。失ったもの以上に多くを得た。
命とか愛とか家族とか仲間とか、今なら恥ずかしがらず心から本気で言える。
それをみんなに伝えたい。
何を話したかは、この場では省略する。
だけど、今日、生徒たちに話せて本当に良かった。
本気で聞いてくれた◯クラスの子たち、本当にありがとう。
そして、「うちのクラスなら大丈夫、ぜひ話してくれ」と励ましてくれた担任の先生、本当にありがとうございました。
こういう経験は
しないでいいならそれがいいけど
これがあったからこそ
より大きな高みを見ることができるのかも…
俺も、人に教える立場にいて
業務のほかに、教えていかなければ
ならないことも少しはわかってきたかな?
自分が会社からお荷物だと
言われるのかと思っていたら
必要だからと言われたのは
今も忘れない!
先生!!
これからもがんばれ。
知ってもらう事って
ちょいと考えます
僕も自分の状態を知らせる時に
知らなかったで済んだ事を
知らせてしまう事にそれは
いい事なんやろか?と
思ったりしてました
聞いてもらえる人の事を
よく考えて
お伝えする人にはお伝えして
ちょっと背負ってもらって
助けてもらった気にも、なってます
先生と生徒って
特別な関係やと思うんすよね
自分で過去を思い出して
あの先生にはこんな事で
お世話になったな、って
思い出したりするなかで
今回、DKさんが教室で話された事が
生徒さんとのこれからの関わりの中で
良いイベントになったと
何年後かにお互いが思えたら
良いと思います
なんか良い輪の中で
生きてはる気がして
ほっこりしました
無理せず、
いろんな人に助けてもらいながら
生きていきましょう。
読ませていただいて、涙が出て止まりませんでした…
DKさんが伝えたい思いを生徒さんたちが真剣に受け止めたことが、文面から伝わってきました
私も病気になって、一時は死んでも思い残すことはないかなと思ったこともありましたが、せっかく助けてもらった命をしっかり生きようと思っています
これからのご活躍を応援しています!
こんばんは。私の子供が先生に大変お世話になりました。
感謝でいっぱいです。
先生は今は次のステージに、、、
心から、いつも応援しています。
一輝さん
確かにね….、できればしたくなかったけど、してしまっている以上はどうにかこの経験をプラスに捉えたいよね。
必要とされている、役に立っている、その感覚はすごく嬉しいよな。
ありがとう、手術、遂にもう目の前じゃな!頑張ってよ〜。
kjさん
その気持ちよくわかります。僕も今のところは言う必要がある人にしか伝えてないです。とくに相手が子どもの場合は難しいです。ただ、職場の人らはまだ出会って少ししか経ってないのに、本当によくしてもらってますし、たまにいろいろと甘えています。笑
そうですね、今までと、これからの部分でちょっとまだ葛藤がたくさんありますが、彼らの中に「そいや、あんな奴おったな」があってくれたら、それでいいです。
そうですね、いろんな人を巻き込みながら、背負ってもらいながら、のんびり行きましょう。
linkfujiさん
あとは自分の生き方や態度で子どもたちに伝えていければと思います。絶対に僕ら生き続けましょうね!!死ぬのが怖いから生きるんじゃなくて、後悔しない人生を謳歌するために生き抜いてやりましょう。
励ましのメッセージありがとうございます。今の私の心に染み渡りました。次のステージに立てたのも、前任校での子どもたちや保護者のみなさんが、先生でいることの喜びを教えてくれたからです。ありがとうございます。